イエスの十字架上の七言 [教会年間行事]
それと重複するが、今回は、主イエスの十字架上の七つの言葉に関する本とCDの紹介。
1.
西谷幸介、『改訂新版 十字架の七つの言葉――キリスト教信仰入門』、ヨベル、2015年。
かつてはヨルダン社から出ていたものの新版。七つの言葉をそれぞれ学ぶのにおすすめ。
2.
加藤常昭、『黙想 十字架上の七つの言葉』、教文館、2006年。
学びのためと言うより、じっくり黙想している文章。
3.
W. H. ウィリモン(上田好春訳)、『十字架上の七つの言葉と出会う』、日本基督教団出版局、2017年。
十字架上の七つの言葉を一つひとつ取り上げた、アメリカでの説教なので、学びというより読み物的。
4.
ハイドン(Franz Joseph Haydn)「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」(Die sieben letzten Worte unseres Erlösers am kreuze)作品51
最初のオーケストラ版、その後の弦楽四重奏版、ピアノ版、オラトリオ版と様々ある。
弦楽四重奏版は、教会で演奏される雰囲気があるので、礼拝前後のBGMに使ったり、黙想用にかけたりするのに適している。
弦楽四重奏版のCDは、ゲヴァントハウスとかクレーメルとかエマーソンとかいろいろあるが、
ベルギーのクイケン四重奏団(Kuijken Quartet)の演奏も有名で定評があり、モーツァルトの弦楽四重奏(弦楽五重奏では寺神戸亮が加わっている)などでもよく親しまれている。
この演奏は、1994年10月17~20日、オランダ、ハーレム、ドープスヘジンデ教会での録音。
このCD(COCO-70520)は、DENONのクレスト1000のシリーズのNo.109として2003年に発売されたもの(Limited Editionとはたぶんこのこと)。
これは、2001年にデンオンベストマスターズシリーズから発売された「COCQ-85128の原盤による再発売商品」と明記されている。
2010年に出たブルースペックCD版(COCO-73134)もたぶん同じ録音。
5.
シュッツ(Heinrich Schütz)のオラトリオ「十字架上のイエス・キリストの七つの言葉」(Die Sieben Worte Jesu Christi am Kreuz)SWV478もある。
四旬節の定番 [教会年間行事]
1.
加藤常昭、『黙想 十字架上の七つの言葉』、教文館、2006年。
読む者も、読みながら一緒に黙想する。
家庭集会でこの時期に毎年、七言を一つずつ取り上げている。7年たったら、また最初に戻る(皆、7年前の学びは忘れている)。
2.
西谷幸介、『十字架の七つの言葉』、ヨルダン社、1999年初版、2000年改訂、2006年改訂3版。
この写真はヨルダン社刊のものであるが、ヨルダン社が事業を閉じて残念に思っていたら、昨年ヨベルから出てくれた。
『改訂新版 十字架の七つの言葉――キリスト教信仰入門』、ヨベル、2015年。
3.
P. ラーゲルクヴィスト(尾崎義訳)、『バラバ』(岩波文庫赤757-1)、岩波書店、1974年。
最初は岩波現代叢書、1953年。
2013年11月15日に重版されたのが最後か?
4.
バッハ『マタイ受難曲』(BWV244)、カール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団・合唱団、録音:1958年6~8月ミュンヘン、Archiv。
バッハのマタイ受難曲の定番。
四旬節、受難節、レント、大斎 [教会年間行事]
(いつを終わりの日とするかにも、いろいろあるようだが)
各教会でどの名称を使っているか、できるだけ正式なところがわかるように、その教会の文献で調査。
ハリストス正教会:大斎(おおものいみ)
別名で「四旬斎」(しじゅんさい)。
斎(ものいみ)とは、祭の準備として、食事の節制や熱心な祈祷が勧められる時のこと。
文献:ダビデ水口優明編著『正教会の手引』、日本ハリストス正教会教団全国宣教企画委員会、2004年。
カトリック:四旬節(しじゅんせつ)
文献:第二バチカン公会議『典礼憲章』109。
聖公会:大斎節(だいさいせつ)
文献:『祈祷書』、日本聖公会、1990年。
ルーテル教会:四旬節
文献:『ルーテル教会式文』第2版、2001年。
日本基督教団:四旬節
文献:『日本基督教団口語式文』。
というわけで、
四旬節
ラテン語Quadragesima(「第40の」の意、「クワドラゲシマ」と読む。こういうときは「・・・ジェシマ」ではない。)に従った伝統的な言い方。
レント
待降節をアドベントAdventと呼ぶのに対応して日本に定着したカタカナの名称。古期英語に基づく英語Lent。元来の意味は、日が長くなる春のこと。ちなみに、Adventの方は、ラテン語adventus(「到来、接近」の意)に由来した英語。
受難節
受難週や受難日とそろえた、分かりやすい通称的な言い方。
復活前節
イギリスのThe Joint Liturgical Group(JLG)の合同礼拝研究委員会が1967年に発表した"The Calendar and Lectionary"が、教会暦の区分に伝統的な言い方を採用せず、クリスマス、イースター、ペンテコステを中心に、降誕前第○○主日、とか復活前第○○主日、聖霊降臨後第○○主日などとした。
これにならって、日本基督教団の聖書日課編集委員会を中心とした研究委員会で、降誕前節、復活前節などとした。
文献:日本基督教団出版局聖書日課編集委員会編、『新しい教会暦と聖書日課――4年サイクル主日聖書日課を用いるために』、日本基督教団出版局、1999年、pp.82~86、115~116、149~150。
というわけで、復活前節という言い方は、伝統を無視してなんだか合理主義に流された言い方なので、採用するのはやめておきましょう。
結論:
イースター前の40日間(主日を除く)は、「四旬節」(しじゅんせつ)と言います。
高齢者祝福礼拝の時期と名称 [教会年間行事]
1.いつ行うか
キリスト教として特に決まったことはないと思うので、別に1年の中でいつでもいいのだが、国の休日で9月の第三月曜日となっているので、その近くが分かりやすい。
大概は、第三月曜日の前日の日曜日ということになろう。
ところが、その日は必ずしも第三主日というわけではなく、年によって第二主日のこともある。2014年がそうだった。次回は2025年。
毎年第三主日と思い込んでいると、忘れた頃に第二主日になるのでびっくりする。
まあ、国の休日とは関係なく、第二なら第二、第三なら第三と決めてしまってもいいかもしれない。
なお、今年2015年のようにシルバーウィークとかいう連休になったりすると、ご家族とご旅行に行かれていて、せっかくの高齢者祝福の礼拝に出席されない方が出てくるかもしれないが、それは考えてもしかたないでしょう。
2.名称をどうするか
「記念礼拝」という言い方は、過去の出来事を記念するときに使う(創立○○年記念礼拝など)。
「感謝礼拝」というのも、おかしい。高齢者に感謝するのではなく、神に感謝する。もし感謝礼拝という言葉を使うとすれば、長寿感謝礼拝か?
一番いいのは、幼児祝福式とか成人祝福とかがあるので、私の仕えている教会ではそれぞれ幼児祝福礼拝、成人祝福礼拝としているのに合わせて「高齢者祝福礼拝」がよい。
「老人祝福礼拝」はしっくりこない。「敬老祝福礼拝」は変。
ただ、幼児祝福や成人祝福は、祝福を受ける対象の者が明確であるのに対し、高齢者祝福の場合、対象者を明確にするには年齢で線引きをしなければならない。
年齢での線引きに関しては、2011年9月21日のブログ記事を参照。
対象者を明確にしなくても「高齢者祝福礼拝」とするか、それとも少し観点を変えた名称にするか。
一案として、高齢の方々を敬う側がいなければ敬老にならないという観点から、「高齢者を覚える礼拝」という名称はどうだろうか。
3.参考資料
年度始めがイースター [教会年間行事]
このようなことは、次回は2018年4月1日である。
年度の切り替わりに牧師が異動したり、神学校を卒業して新しく任地に赴く者もいるだろう。
しかし、今年のような場合は、新任であるいは転任して最初の主の日がイースターである。
しかも、引っ越しの費用が一番かかる時期に、牧師は転任する。多くの牧師は財政的にそれほど余裕がないのに。
引っ越し費用を教会が負担するとしても、教会だって多くは財政が逼迫している状況だろうに、わざわざハイ・シーズンに引っ越すのは、いかがなものか。
というわけで、提言として、辞任の時期は年度が替わってしばらくしてから、ともかくイースターが終わってからにしましょう。
できれば、その年度の計画を立てて、年度初めの定期教会総会を終えてから、次の牧師にバトンタッチをするのが、教会の継続的な営みのためにふさわしいのではないだろうか。
「新しい年度の計画は、今度赴任してくる新しい牧師に決めてもらいましょう」などとやっているから、教会は牧師によってころころ方針が変わって、一貫性がなくなるのである。
では、神学校新卒の者はどうすればいいのか?
どうすればいいのでしょうかねえ。。。。。
前任者のもとで引き継ぎ期間を数ヶ月過ごすとか、赴任に向けて準備し英気を養う期間とするとか。
でも、その間の生活費は?・・・・・どうすればいいのでしょうかねえ。。。。。
イースターカードはいつ送るか [教会年間行事]
教会出入りの本屋さんからイースター用のポストカードを買ったら、けげんな顔された。「いまからイースターカードですか?」って。
何となく、12月25日になるまでにクリスマスカードを送り合っている。クリスマスが終わるとすぐに新年だからか。
しかし、イエスさまが生まれてから、お誕生をお祝いすべきではないか。
だって、友人に赤ちゃんがもうすぐ生まれるって聞いたとき、生まれる前には「おめでとう」って絶対言わないでしょ。
だから、クリスマスカードは、クリスマスを迎えてから送り合った方が良いのではないか。
イースターなら、なおさらではないか。
イースター前は、主イエスの十字架への歩みをたどり、自らの罪を悔い改め、華美な飲食を慎み、嗜好品を遠ざけ、無駄遣いをやめて、節制する時である。
主の御受難を覚える期間に、「イースターおめでとう」なんてカードをやりとりしてはいられない。
四旬節(伝統的にこう言う。通称的には受難節)の意義が廃れているために、イースター前にイースターカードをやりとりするのではないだろうか。
というわけで、
1.イースターカードは、イースターを迎えてから送り合いましょう。
2.イースター前にカードを送ってくださった方々、こんなこと言ってごめんなさい。カードを送っていただいたこと、感謝しています。
神学校日はいつ始まった? [教会年間行事]
受難週の聖餐は木曜?金曜? [教会年間行事]
マルコによる福音書によれば、当時の暦での金曜日に、過越の食事として、いわゆる最後の晩餐が行われた(マルコ14:12~26)。これは、現在の木曜日の日没後である。
したがって、これを記念して受難週の聖餐礼拝を行うとすれば、聖木曜日の日没後がふさわしい。
2.キリストの死は金曜日
イエス・キリストが息を引き取った時刻とされるのは、午後三時頃である(マルコ15:34~37)。この時刻に教会に集まって、イエス・キリストの死を想起して聖餐を行う習慣もある。
現代では、人々が集まりやすいように、日中ではなく夕刻に行うことも多い。
あるいは、「キリストが亡くなられた日の悲しみと暗さを象徴する形の夜の礼拝が行われることもかなり一般的となりました」(今橋朗『よくわかる礼拝の暦』、p.53)。
3.カトリックでは
ちなみに、カトリック教会ではどうだろうか。
聖木曜日の夕刻に、「主の晩さんの夕べのミサ」が行われる。
聖金曜日は、午後三時頃に「主の受難の祭儀」が行われる。ミサではなく祭儀と言うのは、聖体拝領は行われるがパンと杯の聖別は行われないからである。伝統的に、聖金曜日はミサがささげられない日とされており、前日のミサで聖別した聖体が用いられる。
なお、「司牧的理由から主の受難の祭儀を午後3時より遅く行う場合も、午後9時以降には行わない」。(日本カトリック典礼委員会、『聖週間の典礼に関する補足事項』、2012.2.2)
そのほか参考文献は、
・日本カトリック典礼委員会編、『典礼暦年に関する一般原則および一般ローマ暦』カトリック中央協議会、2004年。
・カトリック中央協議会の「典礼解説 過越の聖なる三日間」のページ。
4.結 論
受難週の聖餐礼拝は、教会によって、木曜日だったり金曜日だったりするが、それぞれ意味が異なる。
(1)木曜日の夕刻(日没後)に行われている聖餐礼拝は、いわゆる最後の晩餐を記念する礼拝である。
(2)金曜の夕刻に行われている聖餐礼拝は、イエス・キリストの死を想起する礼拝である。
成人祝福礼拝をいつやるか [教会年間行事]
成人祝福の意義とか式文とかについて書いた「成人祝福」と
「聖書に見る『二十歳で成人』」
を書きましたが、大問題が発生!
1.
自治体の成人式は「成人の日」に行われるものと思っていました。ところが、どうも違うらしい。
昨年の成人祝福礼拝では、礼拝が始まってしばらくしてから来られた一人の新成人の方が、祝福の時が終わるとすぐに、自治体の成人式に戻っていかれました。
2.
そこで近隣の自治体を調べてみると、2013年1月は、
1月14日(月)の「成人の日」に成人式を行うのは、柏市、野田市、松戸市、我孫子市、白井市
1月13日(日)に行うのは、流山市、印西市、取手市、守谷市
ネットで調べてみると、帰省に合わせて1月3日とか8月とかに行う自治体もあるのですね。
茨城県は2012年、成人の日に成人式を行う自治体はついにゼロになったそう。 → 茨城新聞の記事
成人の日に成人式を行わないなんて、何のための「成人の日」なんだぁ~
3.
でも、日曜日に自治体の成人式があったら、教会はどうする? 対抗するようなことではないし、教会員のお子さまで日頃は教会に足を運ばない方が、成人祝福の時だけは(しぶしぶ?)来ることもあるし。
新成人となる人が出席する自治体の成人式とぶつかっていたら、その年は成人祝福礼拝を一週間ずらしましょうか?
ペンテコステが盛り上がらない理由 [教会年間行事]
1.ひとつの文献
これに関して、
日本基督教団出版局聖書日課編集委員会編、『新しい教会暦と聖書日課――4年サイクル主日聖書日課を用いるために』、日本基督教団出版局、1999年。
に次のような記述があった。
「復活祭は、キリスト教学校では、年度替わりにあたるため、ほとんど忘れられていました。・・・聖霊降臨祭も、・・・「母の日」(五月第二日曜日)や「花の日」(六月第二日曜日)などに重なると、〔こういった〕行事暦の方が優先され、教会暦本来の聖霊降臨祭を覚えることなど意に介さなかった教会すらあったようです。」
(北村宗次「日本基督教団の聖書日課」、p.101。)
というわけで、行事暦の方が魅力的だったということである。
2.行事暦はなぜ魅力的か
ではなぜ、行事暦の方が魅力的なのか。
それはやはり、「母の日」はカーネーションを送るという特別な形があるし、「花の日」には病院や警察、消防署などにお花を持っていく(そういう経験を私自身、子供の頃毎年していた)。しかし、ペンテコステにはこれといって決まった形があるわけではない。クリスマスのように、リースを掛けてツリーを飾ってという定番の形がないのである。
3.ペンテコステのシンボルは何?
それでは、ペンテコステのシンボルは何だろうか。ペンテコステのシンボルは鳩だということで、前回の記事では豊島屋の「鳩サブレー」を一押ししてみたが、一枚約105円(税込み)するし、ただそのまま配っても芸がない。(以前、教会学校で鳩サブレーの上にデコレーションしたことがあったが)
他にシンボルとして、赤い色がある。そこで、ネットを検索してみると、ペンテコステ礼拝の日、何か赤いものを身に着けて礼拝に行くという教会がいくつもあるようだ。(もちろん、赤いものを身に着けなくてもよい)
これなら、費用はかからないし、自分でおしゃれを工夫したり、他の人のを見るのが楽しいかも。
4.結 論
そこで、ペンテコステ礼拝では、何か赤いものを身に着けるというのをやってみよう。
ついでに、週報用紙も赤い紙を使ってみよう。(クリスマスとかイースターでは専用のカラーの週報用紙を使うのに、ペンテコステは何もなかったので)
三大祝日 [教会年間行事]
キリスト教で祝日と言えば、何よりも、クリスマス(降誕日)、イースター(復活日)、そして、ペンテコステ(聖霊降臨日)のことです。これらを三大祝日と呼びます。
2.国民の祝日との関係
それゆえ、基本的に、キリスト教会は、日本の国が定めた祝日には関係なく活動します。日曜日であれば、1月1日であっても礼拝を休みにしたりはしません。毎週水曜日に祈祷会を行っていれば、その日が国の祝日と重なっても、祈祷会は休みにはしません。
とはいえ、、平日の婦人会などは、学校や会社が休みで家族が家にいて教会に来られないので、休会ということもありうるでしょう。その辺は、集まる人々の状況を考慮して決められます。また、国民の祝日で学校や会社が休みになることを利用して、その日に伝道集会をしたり、修養会をおこなったりということもあります。
3.三大祝日の知名度とシンボル
クリスマスは、イエス・キリストの誕生を祝うということでわかりやすく、クリスマスツリーなどの飾りつけも一般に受け入れやすいので、教会とは関係のないところでもよく知られています。
イースターは、復活などということは世間では受け入れられないため、あまり知られてはいませんでしたが、それでも、イースターエッグとかイースター・バニーがあるので、最近は、ディズニーランドでもアイスクリーム屋さんでもイースターが宣伝材料になってきました。
しかし、ペンテコステに至っては、聖霊ですから、一般にはまったく受け入れられていなく、知られていません。ところが、シンボルとしてはハトがあり、これはクリスマスツリーやイースターエッグなどとは異なり聖書に直接基づくものです。
そこで、ペンテコステには、鳩サブレーはいかがでしょう? 鳩サブレーは豊島屋が有名ですね。というか、豊島屋の登録商標でしょうか。鳩サブレではなく鳩サブレーと伸ばすのが正式な商品名らしいです。
ちなみに、豊島屋の本店(鎌倉市小町2-11-19)でしか買えない鳩サブレーグッズがあるらしい。鳩サブレー型のクリップとか、レターセット、消しゴム、修正テープ、マグネット、トランプも。豊島屋のサイトhttp://www.hato.co.jp/でひみつのページを探せ。
4.盛り上がりに欠けるペンテコステ
クリスマスには、その前にアドベントの期間があります。イースターには、その前に四旬節や受難週があります。ペンテコステにはその10日前に昇天日があります。しかし、ペンテコステの前の期間は、キリスト教の信仰者の間でも、特別な意識をもって過ごしたり準備したりといったことがなく、盛り上がりに欠ける感じがします。
たとえば、クリスマスとイースターには礼拝後に愛餐会をするけど、ペンテコステ礼拝の後は何もないという教会も多いのではないでしょうか。ペンテコステを盛り上げる何かいいアイディアはないものでしょうか。
いや、もしかしたら、聖霊降臨日の次の主日は伝統的に三位一体主日とされているように、ペンテコステより後が重要なのかもしれません。
5.献金の機会としても肩身の狭いペンテコステ
クリスマス献金はあります。イースター献金も献げられます。しかし、ペンテコステ献金はあまり聞きません。イースターと時期が近すぎるので避けられ、かえって、夏のボーナスの時期に合わせた夏期献金が呼びかけられます。
6.聖霊の大切さ
ペンテコステから始まってアドベントの数週間前まで続く「聖霊降臨節」は、教会の暦の中で最も長い期間です。聖霊なる神は、わたしたちの内に留まって、わたしたちに御子イエス・キリストを知らせ、わたしたちを御子イエス・キリストの救いに与らせてくださる、わたしたちの最も身近におられるお方です。聖霊なる神の理解と信仰をもっと深めることが大切ではないかと思います。
聖書に見る「二十歳で成人」 [教会年間行事]
1.イスラエルでは、エジプト脱出後、二十歳以上の男子が戸籍登録された。出エジプト30:12~14、38:26、民数1:2~3、18~19
ただし、戸籍に登録されたこれらの二十歳以上の者は誰一人、約束の土地に入ることはできなかった(ヨシュアとカレブは除いて)。民数14:29~30、32:11~12
40年後に約束の地に入る前にも、二十歳以上の人口調査がなされた。民数26:2~4
2.ダビデの時代、神殿での奉仕を職務とする二十歳以上の者が数え上げられた。歴代上23:24、27
二十歳以下の者は人口に加えられなかった。歴代上27:23
3.ヒゼキヤの改革で、二十歳以上のレビ人が祭司として登録された。歴代下31:17
4.エルサレム帰還後、二十歳以上のレビ人が神殿工事の指揮に当たった。エズラ3:8
クリスマスはいつまで? [教会年間行事]
元旦礼拝か、元旦祈祷会か
成人祝福
がある。
また、しばらく前に、
アドベントはいつから?
を書いた。
で、今回は、クリスマスはいつまで?
広くは、降誕節第一主日から、「灰の水曜日」から始まる四旬節の前日まで。今シーズンで言うと、2011年12月25日~2012年2月21日までが、「降誕節」。
これでは、「クリスマス」という感覚からはちょっと広すぎる。特に意識して主イエス・キリストの誕生を祝う期間として、もう少し限定的な範囲としては、12月25日から公現日(栄光祭)である1月6日まで。この期間が「クリスマス・シーズン」だ。
したがって、
1.1月6日までは、クリスマスの飾り付けは残しておきましょう。まるで3月3日が過ぎたら急いでおひなさまをしまうみたいに、12月25日が終わったらすぐにかたづけちゃうということがないように。デパートや商店街はそうしてしまっていても、教会はデパートや商店街と同じにならないようにしなくちゃね。
2.「クリスマスおめでとう!」の挨拶は、12月24日や25日だけじゃなくて、1月6日までしていいんじゃないの?
3.クリスマスカードはどうしてクリスマス前に送り合うのだろう。1月1日よりまえに年賀状は届かないし、受難節の内に「イースターおめでとう」は言わないでしょ。だから、12月25日を迎えてからクリスマスカードを送るようにしたほうがいいんじゃないだろうか。
4.1月6日までは礼拝や集会でクリスマスの讃美歌を歌いましょう。もちろん、一年中いつでも、御子が世に来られたことを覚えてクリスマスの讃美歌が歌われてもおかしくはないはず。
アドベントはいつから? [教会年間行事]
1.教会暦
12月25日から「降誕節」が始まる。
12月25日よりも前の日曜日4回を含む期間が「アドベント(待降節)」である。
2.具体的に
今年2011年のように12月25日が日曜日の場合、最も早く11月27日からアドベントに入り、その後、12月4日、11日、18日がアドベント期間中の日曜日となる。
12月25日が月曜日の場合、最も遅く12月3日からアドベントに入り、その後、10日、17日、24日がアドベント期間中の日曜日となる。
12月25日が土曜日の場合、11月28日からアドベントに入り、その後、12月5日、12日、19日がアドベント期間中の日曜日となる。
3.クリスマス礼拝はいつにするか
12月25日が日曜日の場合は12月25日にクリスマス礼拝を行う。
12月25日が平日の場合は、12月25日を迎える週の最初の日曜日にクリスマス礼拝を行う。すなわち、この日はアドベント第四の主日である。
(もちろん、たとえ平日になっても12月25日当日に「クリスマス礼拝」を行ってもよいが。)
つまり、12月25日が平日の年は、クリスマス礼拝が行われる主日は、教会暦としてはまだ「アドベント(待降節)」である。
4.ろうそく
ろうそくは、アドベントの4回の主日に1本ずつ増やしてともしていく。したがって、12月25日が平日の場合は、クリスマス礼拝が行われる主日に、4本目のろうそくが追加される。
12月25日が日曜日の年は、その前週の12月18日に4本のろうそくがともされる。この場合、厳密に言えば、12月25日はもうアドベント(待降節)ではないので、ろうそくをともす必要はない(もちろん、年間通じていつでもろうそくをともしている教会は別)。
しかし、“ろうそくがないとクリスマスの雰囲気が出ない”という思いを持つかもしれない。
そこでどうするか。ろうそくの飾り方を工夫することになろう。
高齢者祝福礼拝 [教会年間行事]
1.目 的
幼児祝福や成人祝福と同じように、高齢者を祝福する。
2.礼 拝
礼拝の中の一部分だけで高齢者を祝福する時をもつのではなく、礼拝全体を「高齢者祝福礼拝」として、関連する聖書箇所を選び、説教がなされるのがよい。
3.対象者?
何歳以上を祝福の対象とするか。70歳以上? 75歳以上?
以上のようなわけで、年齢での“線引き”は難しく、“対象者”は決めないほうがよい。
したがって、プレゼントを差し上げるということも行わない方がよい。何よりも、神の祝福を祈り、共に神を礼拝することに徹する。
4.高齢者を覚えつつ全世代が集って礼拝をささげる
しかし対象者を決めないとなると、高齢者を祝福すると言っても、名を呼ぶ訳にいかず、祝福の受領者が定まらず漠然としてしまう。
そこで、高齢の方々を覚えつつ、高齢者を敬う側の若い人をはじめ全世代が集って、共に礼拝することに重点を置くのがよい。
5.祝 福
成人祝福 [教会年間行事]
1.意 義
二十歳で成人することは日本の国が定めていることであるが、聖書でも、イスラエルの民は二十歳以上のものが戸籍に登録された(出30:12-14、38:26、民1:2-3、18-19、26:2-4など)。
社会的な責任が与えられるこの機会に、教会も青年たちが神を知る知識を深くし、社会生活における歩みの上に主の導きがあるように祈ることはよいことであろう。
2.いつ行うか
国が定める「成人の日」は、かつては1月15日であったが、法律が改正されいわゆる「ハッピーマンデー制度」の導入によって、2000年から1月の第二月曜となった。それに伴い、1月の第二月曜の前日の礼拝の中で成人祝福を行うとよいだろう。
ただし、大概は第二主日だが、1月1日が月曜日の年だけは第一主日になる(例えば2007年)。その場合、第一主日に行うか、第二主日にするかは迷うところだが、それぞれの教会の状況で決めることになる(聖餐もあって礼拝が長くならないか、新年礼拝としての特別な礼拝との兼ね合い、午後に新成人を招いた親睦会をするとなると役員会とかち合わないようにするとか)。
3.対 象
成人式を迎える教会員や教会学校卒業生をはじめ、普段は礼拝に出席していなくても、家族や親戚で成人する方を広く教会員に呼びかけてるとよい。
4.礼拝について
通常どおりの礼拝の中で成人祝福の時を持ってもよいが、普段礼拝出席のない新成人も招こうという場合には、若者向けにしたり、普段より伝道的な礼拝として工夫することもよいだろう。説教も青年・若者を意識した内容、語りを心がけ、礼拝の名称を「成人祝福礼拝」とすると、教会全体で成人を祝福しようという思いが高まる。
5.式 文
成人祝福の式文はないので自分で考える。というより、牧師同士で試みや工夫を共有し合いたい。
- ①「これから成人祝福式を行います。今年成人される方は、前へお出でください。あらかじめ申し出ておられない方でも、今日たまたま礼拝に出席されたという方も、今年成人される方はどうぞ前にお出でください。」
- ②序詞: 成人祝福の意義を語る。
- ③聖書: コヘレトの言葉12:1-2、ペトロの手紙一5:5-7、テモテへの手紙一4:12など。
- ④祈祷
- ⑤祝福: 一人ひとり名を呼び、「神さまの祝福がありますように」と祈る。あるいは、「アロンの祝福」でも。
- ⑥紹介: 教会員に一人ひとり紹介する。礼拝の中なので拍手はしない。最後に「主にあってよろしくお願いします」と言う。
- 祈祷の参考例は『神の民の礼拝――カンバーランド長老キリスト教会礼拝書』(一麦出版社、2007年)のp.165。
- 祝福の前の短い奨励の例は、吉岡光人「新成人祝福の祈り」in 『礼拝と音楽』No.140、2009冬号、pp.38-39。
6.プレゼント
礼拝後に再度紹介し、教会からプレゼントを差し上げる。そしてみんなで讃美歌21-403とか「君は愛されるために生まれた」とかを歌う。
元旦礼拝か、元旦祈祷会か [教会年間行事]
1.礼拝か祈祷会か
それぞれの教会のこれまでの経緯や現在の状況によって、どちらでもよい。礼拝の方が、奏楽者・献金当番・受付当番などをきちんと決めておかなければならないという感じがする。祈祷会ならば、牧師一人でヒムプレーヤーを操作して会を行える感じ。しかしこれもそれぞれの教会による。
どちらにしても、教会に集って神の御前に歩み出ることで新しい一年を始めるのは、よいことである。
2.名称
「元旦」とは、元日の早朝、あるいは日の出の頃を意味するので、「元旦早天礼拝」とか「元旦早天祈祷会」とは言わない。「元旦礼拝」、「元旦祈祷会」でよい。
3.時刻・時間
礼拝であれば、通常の主日礼拝と同じかそれより早い時間に、いずれにしても午前中に行うのがよい。
祈祷会であれば、ぜひとも、日の出の頃に行いたい。具体的には、6時半開始で約1時間の祈祷会を行って、7時半頃終える。そうすると、日の出前の暗いうちに教会に集まり、祈り終えて教会の外に出ると、すっかり明るくなっている。祈り終えたすがすがしさと元旦のすがすがしさの相乗効果で湧き上がる感動は、元旦祈祷会に出席した者だけが味わえる。
(1月1日の日の出時刻は、場所と年によって異なるが、だいたい、6時40分台~7時10分台くらい。)
ノンクリスチャンの家族が家で待っている(寝ている?)ケースが多いので、礼拝にしても祈祷会にしても約1時間でさくっと終えよう。
幼児祝福 [教会年間行事]
多くは、6月第三の「子どもの日」か、11月の七五三の時期に行っているだろう。まあ、どちらでも。
2.対 象
未就学児対象とか、10歳までとか、小学6年生までとか。その教会のこれまでのやり方に応じていろいろ。未就学児対象の場合は「幼児祝福」でよいが、小学生まで含めると「こども祝福」という名称になろうか。
3.礼 拝
礼拝の中の一部分だけ「幼児祝福」とか「幼児祝福式」とする方法もあるが、礼拝全体で幼児祝福を意識した「幼児祝福礼拝」とするのもよい。
礼拝の中の位置だが、説教後だと、礼拝の最初から幼児も出席するのは困難なので、どうしても祝福を行うときになってこどもたちが礼拝堂に入ってくるという感じになる。そこで、説教までの前半は幼児と共に礼拝し、説教前に祝福を行う。そうすれば、礼拝の前半は大人も幼児も一緒に礼拝できる。
もっとも、その時々で、幼児の人数や、普段礼拝出席している教会員の子どもか普段礼拝出席のない親子が多いかなどによって、毎年自由に工夫するとよい。
4.幼児祝福の目的
日本基督教団の式文の中に「幼児祝福式」があるが、それは幼児洗礼を行わない場合の献児式を想定した内容である。そこで、あらためて、幼児祝福の目的を考える。
(1)神がなさる祝福を教会が取り次いで与える。祝福すること自体が目的である。
(2)神によって幼子が守り育てられていること、家庭と教会に喜びと希望が与えられていることを感謝する。
(3)幼子の信仰における成長を祈る。
(4)家族と教会が、幼子を守り育てる責任を自覚し、その責任を果たしうるよう、願う。
(5)わたしたちが神に対して子供のように信頼する信仰を持つことができるよう、願い求める。
5.祈 り
以上の目的を考慮した祈りの例:
すべてのものを慈しみ育ててくださる天のお父様、
あなたはこの幼子たちを世に生まれさせ、守り育ててくださっています。感謝いたします。このことを通して、その家庭と教会に、喜びと希望とを与えてくださり、ありがとうございます。
どうぞ、あなたの御手の内にあるこの幼子たちを、豊かな恵みをもって祝福してください。この幼子たちを、あなたの御旨に従って、心も体も健やかに成長させ、生涯 あなたの道に歩ませ、あなたを愛し、あなたの栄光を表す者としてください。そして、やがて信仰を告白し、あなたの僕として歩みますように。
また、幼子を主にあって守り育てる責任を果たせるように、幼子それぞれの家族とわたしたちを、聖霊の助けによってお導きください。
御子イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。