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votumとは何か(1) [礼拝]

改革派の教会で、礼拝の冒頭に詩編124:8が告げられたり読み交わされたりするvotumについて。

引用1-1
VOTUM
Our help is in the name of the Lord,
who made heaven and earth.
Amen.

"Order of Worship for the Lord's Day," Reformed Church in America, 1987.


引用1-2
votumという用語は、改革派教会では、主の礼拝を開始する宣言として、願い求めを言い表すために、用いられる。

アメリカ改革派教会礼拝局編著(全国連合長老会式文委員会訳)、『主の日の礼拝と礼拝指針――アメリカ改革派教会における礼拝の理解のために』、キリスト新聞社、2003年、p.10。


引用2
招きの言葉の前に次のような言葉を読むことも、プロテスタント教会の古くからの伝統です。この部分はvotumと呼ばれ、神に願い求めることを意味します。
司式者「父と子と聖霊の名によって」
会 衆「アーメン」
司式者「わたしたちの助けは、天地を造られた主の御名にある」(詩編124・8)

小栗献『よくわかるキリスト教の礼拝』、キリスト新聞社、2004年、p.81。



1.アメリカ改革派教会
アメリカ改革派教会Reformed Church in America(RCA)の礼拝式文"Order of Worship for the Lord's Day"(1987)は、"Liturgy of the RCA"というページの中のhttp://images.rca.org/docs/worship/lordsday.pdf

礼拝指針"The Directory for Worship"はhttps://www.rca.org/resources/directory-worship


2.キリスト改革派教会
もう一つのアメリカの主要な改革派教会である北米キリスト改革派教会Christian Reformed Church in North America(CRCNAあるいは単にCRC)の式文についての情報は、CRCのサイトの中の"Liturgical Forms & Resources"というページ。

これによると、"Psalter Hymnal" (1987)に収録されているようだが、見たことないので詳細は不明。

CRCのサイトにService for Word and Sacrament (1981)というページがある。ここにはvotumという言葉は出てこないが、冒頭のThe Openingの最初に、
Minister: In the name of the Father, and the Son, and the Holy Spirit.
People: Our help is in the name of the Lord, who made heaven and earth.

とある。

votumについては、Acts of Synod(1968)(PDF 20.39MB)の中でSupplement 3として収録されているLiturgical Committeeからの報告の中で詳細に論じられている(pp.159-160あたり)。

ただし、この報告では、礼拝の始まりにおいてvotumはinvocationとほとんど同じ意味を持っており、主は御言葉が告げられることによってというよりも祈りへの応答として現臨されるのであるから、invocationを使うことにしてvotumという言葉を使うのは止めましょうと提案している。(p.161)


3.
もっとも、RCAやCRCでこれらがどのくらい規範性・拘束力をもっているか、どのくらい実際に使われているかという問題もあるが、CRCの方はどの教会もこの通りに行うようだ。

アメリカ改革派教会の問題はといえば、典礼や礼拝に関して余りにも自由である、という点にある。・・・実に多種多様な讃美歌が置かれており、また礼拝順序も雑多なものの寄せ集めである・・・。キリスト改革派教会では・・・典礼は一つと決まっていて(しかもそれが守られており)、讃美歌も一冊しかない・・・。

I.J.ヘッセリンク(廣瀬久允訳)『改革派とは何か』教文館、1995年、pp.54-55。



4.長老教会
ちなみに、長老教会では、Presbyterian Church(U.S.A.)とCumberland Presbyterian Churchの共同の礼拝式文"The Service for the Lord's Day"が"Book of Common Worship"(Westminster/John Knox Press, 1993)の中にある。

→ ネット上の全文(PDF 4.90MB)

そこには、votumという言葉はないが、Call to Worshipの部分で、Greetingの次のSentences of Scriptureとして読まれる聖書箇所の例の筆頭に詩編124:8が挙げられている。

なお、PC(U.S.A.)は現在、The Directory for Worshipの改訂作業を行っている。



タグ:礼拝式文

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