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平凡社、吉利支丹文学集(東洋文庫) [書籍紹介・リスト]

新村出、柊源一校注、『吉利支丹文学集1』(東洋文庫567)、平凡社、1993年、389頁。
元は、『吉利支丹文学集 上』(日本古典全書)、朝日新聞社、1957年。柊源一が訂正を加えたものが柊の遺族から提供され、これをもとに若干の補訂がなされたとのこと。


新村出、柊源一校注、『吉利支丹文学集2』(東洋文庫570)、平凡社、1993年、373頁。
元は、『吉利支丹文学集 下』(日本古典全書)、朝日新聞社、1960年。



■『吉利支丹文学集1』の内容
柊源一によるキリシタン文学全般にわたっての系統的な「解説」(pp.15-172)

「こんてむつすむん地」(天理図書館蔵、1610年、国字本)(いわゆるイミタチオ・クリスティ)の翻字、頭注付き(pp.173-384)。

「ぢ」だけ漢字で「地」とされていることについて、「ムンヂが『世の」といふ義なので、音と意味との通ずる『地』といふ字を当てたのであらうか」と推測されている。(p.161)



■『吉利支丹文学集2』の内容
柊源一による「どちりなきりしたん」の解説(pp.15-45)

「どちりなきりしたん」(ヴァチカンのBibliotheca Casanatense蔵、1600年国字本)の翻字、頭注付き(pp.47-187)。1600年ローマ字本を参考にして、句読点を付け、漢字や仮名の読み方を註に示している。

「イソポのハブラス」(大英博物館蔵、1593年ローマ字本)(いわゆるイソップ寓話集)の解説と国字への翻字(pp.189-343)。

平凡社からの復刻に当たって記された、米井力也による「解説」(pp.344-361)。

付録として、「どちりなきりしたん」の中でラテン語、ポルトガル語をそのまま仮名書きされている「本語」をローマ字本での表記と現代語訳と対照させた「本語対照表」と、ローマ字と仮名の対応を一覧にした「吉利支丹版ローマ字仮名対照表」がある(pp.362-373)。



新村出(しんむら・いずる)(1876.10.4-1967.8.17)は『広辞苑』の編纂で有名。名前の読みは「しんむら」であるが、『広辞苑』を引くことを「にいむらをひく」みたいに言われている。


柊源一(ひらぎ・げんいち)(「ひいらぎ」ではない)(1909.2.18-1981.9.30)カトリック信者。略歴と著作目録は、土田将雄「柊源一教授をしのんで」、『上智大学国文学論集』16、1983年1月、pp.1-4
他に、柊源一、『吉利支丹文学論集』、教文館、2009年、212頁。
がある。


平凡社の「東洋文庫」のシリーズは、アジア諸地域の代表的な古典、知られざる名作、貴重な日記・紀行文など、これまでに850点余りを刊行し、2013年に創刊50周年を迎えた。http://www.heibonsha.co.jp/series/toyo.html
『吉利支丹文学集』1、2は、2008年にワイド版も出た。

朝日新聞社の「日本古典全書」は、国立国会図書館をはじめ「日本古典全集」とデータ入力されていることがあるが、「日本古典全書」が正解。



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