SSブログ

キリシタン南蛮文学入門 [読書メモ]

海老沢有道『キリシタン南蛮文学入門』教文館海老沢有道、『キリシタン南蛮文学入門』、教文館、1991年、276+索引9頁。

■ 目次

前篇 総 論
 Ⅰ 序説
 Ⅱ キリシタン南蛮文学の分類
 Ⅲ キリシタン文学の成立基盤
 Ⅳ イエズス会士の日本語研究
 Ⅴ キリシタン文学の用語
後篇 各 論
 Ⅰ 教理(ドチリナ)文学
 Ⅱ 祈祷(オラシヨ)文学
 Ⅲ 典礼・秘跡(サカラメント)文学
 Ⅳ 聖書(スキリツウラ)文学
 Ⅴ 観想(メヂタサン)文学
 Ⅵ 護教(アポロヂヤ)文学
 Ⅶ 殉教(マルチリヨ)文学
 Ⅷ 書簡(カルタス)文学
 Ⅸ 日本文学研究と創作文学
 Ⅹ 反キリシタン文学
 ⅩⅠ南蛮文学
人名索引
書名索引


■ メモ

この本では、フランシスコ・ザビエル(Francisco Xavier)は、シャヴィエルと表記されている。

青年時代にカルヴァンやエラスムスに傾倒してたシャヴィエルは、「より大いなる神の栄光のために」(Ad majorem Dei gloriam)をモットーとしたイエズス会の創立に参加し、イエス・キリストの伝道命令に従って地の果ての日本にまで神の栄光のために渡った。

「世界のすべての人類が、神による同じ被造物として霊性を与えられた存在であり、救いに与るべき価値と権利とを持つものであり、しかもその一個の霊性・人格は、全世界の一切の自然的価値、一切の権力の掌握にもまさる尊い存在」であることをシャビエルは認識した。

「ここにキリスト教の本質的な世界性と人間観とが統一的に再生され、初代教会以来最大の世界布教としてシャビエル自身によって実践的に示されることとなった」。「近世的用件の一つである人間観の確立・世界的視圏の拡大、そして世界史的統一の過程は、まさしくイエズス会によって、というよりシャヴィエルによって教会にもたらされたのであり、日本にもたらされたのであった。」(p.38)

1563年にトリエント公会議で「ローマ・カテキズム」(Catechismus Romanus)が制定されるよりも前に、シャヴィエルはインドや南洋各地における布教体験を踏まえて、1546~47年にクレドによるカテキズモを作成した。鹿児島の青年ヤジロウが彼のもとに至って日本語に翻訳したのはこのカテキズモである。(p.93)


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。