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ワーシップソング3 [音楽]

 井上義、遠藤稔他、『新しい歌を主に歌え――礼拝と会衆讃美と讃美歌集の現在を探る』(いのちのことば社21世紀ブックレット24)、いのちのことば社、2004年。
 この書に記されているワーシップソングについてのまとめ。

1.プレイズ・アンド・ワーシップ・スタイルの起源について
直接的に礼拝の中で、巷に流布しているクリスチャン・ミュージックを取り入れ、また新しいレパートリーを生み出していったのは、1960年代後半に米国西海岸で起こった"Jesus Movement"であった。そこでは、礼拝の中でワーシップソングのコーラスが多く歌われ、歌集にない讃美をソング・リーダーのリードのもとに歌うという実践が日常的になされてきた。(p.33)

また、60年代はカリスマ運動が米国で台頭してきた時期でもあり、ワーシップソングは単純な歌詞の繰り返しにより、霊的高揚へと導くのに適した音楽とみなされ、やがてカリスマ運動と密接不可分な関係となった。(p.33)

リタージカル・ムーブメントが2000年の教会の礼拝の歴史を凝視し、伝統に鑑み伝統に帰る運動であるとすれば、プレイズ・アンド・ワーシップ・ムーブメントは伝統に対して革命的な礼拝刷新運動である。(p.11)


2.ワーシップソングの特徴(p.31、34)
音楽:伝統的な讃美歌よりももっと軽い流行歌的な音楽語法が好まれる。場合によっては、伝統的な讃美歌作品がギターやキーボードで軽やかに演奏されることもある。

歌詞:基本的に、「証し」よりも「讃美」あるいは「礼拝」が強く意識された作品が多い。日本語としての歌詞の質への関心は低く、また歌詞に神学的な内容を豊富に盛り込もうとしない。覚えやすさ、親しみやすさ、ノリの良さといった要素が重要。

文脈: ワーシップ・リーダー等のリードによる、流れのある礼拝の中で用いられる。


3.ワーシップソングと礼拝スタイルの関係
ワーシップソングは、伝統的讃美歌と相互補完的な存在である。(p.20)

ワーシップソングと伝統的な讃美歌の双方をうまく融合させて礼拝を形成しようとするさまざまな試みがある。a)「分離型」は二部礼拝、三部礼拝と、音楽のスタイルや世代によって礼拝を分離する方法、b)「融合型」は一つの礼拝で双方を調和させて取り込む方法、c)「交互型」は今週はバンドとソングリーダーがリードし、次の週はパイプオルガンと伝統的リタージを実施するといった方法。(p.19)

ただし、特に「分離型」について、教会の一致よりも個人の音楽的な嗜好が優先されていることの問題性も指摘されている。(p.21、またp.32にも)

ワーシップソングの是非が問われるとき、"Contemporary Worship"、"Alternative Service"あるいは"Praise & worship"と呼ばれているスタイルが、ワーシップソングの本来のコンテキストであって、単なる音楽のスタイルの違いである以上に、礼拝の問題である。(p.32)


4.楽譜集について
 ワーシップソングは、小さな個人曲集や様々なグループによる創作・翻訳として出版されている。伝統的な賛美歌集とは異なり、まとめて何かを編集してそこに一定の神学的意図を込めるといった風土はない。(p.35)

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