オットー『聖なるもの』(1) [読書メモ]
1.表記、原題、出版年
Rudolf Otto, 1869.9.25-1937.3.7.
オットーの名の日本語表記は、「ルドルフ」だったり「ルードルフ」だったり。
原題:
"Das Heilige: Über das Irrationale in der Idee des Göttlichen und sein Verhältnis zum Rationalen"
副題の邦訳は、「神的なものの観念における非合理的なもの、およびそれの合理的なものとの関係について」(久松訳による)。
初版は1917年。原著者による最終改訂版は1936年。
2.内 容
(1)ヌミノーゼ
神的なものについての観念は、我々の定義可能な概念で把握できる部分(合理的な部分)もあれば、それだけでなく、我々が概念として明白に把握することのできない領域(非合理的な部分でこれを「ヌミノーゼ」(Numinöse)と呼ぶ)も持っている。この非合理的な部分を合理化することは不可能であるが、しかし、可能な限り、非合理的な面の諸要素をできるだけ言語化して、客観的妥当性を追求する理論を形成することを目指す。
(2)構 成
全23章は大きく三つに分けられる(区分の仕方は人によって異なる)。
1~10章で「ヌミノーゼ」が持つ非合理的な諸性質を現象学的に洗い出して「ヌミノーゼ」とは何かを明らかにする。
11~14章で、ヌミノーゼがどのようにして表現されるかについて旧新約聖書とルター(といってもプラトンからルター後のルター派まで)について示し、
15章以降では、聖なるものの経験のアプリオリ性などについて、また、キリスト教における「予覚」(華園訳は「直感」)(Divination)について、宗教哲学的に考察する。
オットー『聖なるもの』