カント「永遠平和のために」(5) [読書メモ]
3.気になる言葉のメモ (3)付録より
その国の公法に不正が含まれるとしても、完全な成熟にいたるまで、あるいは平和的な手段でこれを実現できるようになるまでは、そのままの状態を保つことが許容される・・・。時期尚早な変革を遂行した場合には、法的な体制が全く存在しない無政府状態に陥る運命にあるからである。(付録一より、中山訳、p.221)
人間のうちの道徳的な原理は決して消滅することがないのであり、この原理にしたがって着実に法の理念を実現しようとする理性は、進歩を続ける文化をつうじて常に成長していく。(付録一より、中山訳、p.238)
政治は道徳の前に屈しなければならない。しかしそのことによってこそ、政治が輝きつづけることができる状態にまで、たとえゆっくりとではあっても、進歩することを希望することができる。(付録一より、中山訳、p.239)
国際法がそもそも可能であるためには、まず法的な状態が存在していなければならない。この法的な状態がない自然状態では、どのような法を考えても、それは私法にすぎない。(付録二より、中山訳、p.249)
法に対する尊敬という法論の意味での道徳の前には、政治は膝を屈しなければならない。(付録二より、中山訳、p.251)
公法の状態を実現することは義務であり、同時に根拠のある希望でもある。これが実現されるのが、たとえ無限に遠い将来のことであり、その実現に向けてたえず進んでいくだけだとしてもである。だから永遠平和は、・・・単なる空虚な理念でもなく、実現すべき課題である。(付録二より、中山訳、p.253)