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金素雲、澤正彦、沢知恵(2) [書籍紹介・リスト]

 朝日新聞で2010年8月18日~20日に「百年の明日 日本とコリア 家族・第四部」として、金素雲と沢正彦と沢知恵のことが記事になっていたので、それにちなんだまとめ。

2.澤正彦(さわ・まさひこ)(1939.4.20 - 1989.3.27)
金素雲の娘、金纓(Kim Young)の夫。新聞記事では「沢」となっていたが、著書は見る限りみな「澤」と表記さえていたので、ここでも「澤」とする。

(1)澤正彦の著作は次の六つ。
・『南北朝鮮キリスト教史論』、日本基督教団出版局、1982年。論文集。
・『ソウルからの手紙――韓国教会のなかで』、草風館、1984年。
・金纓と共著、『弱き時にこそ――癌を告知された夫婦の日記』、日本基督教団出版局、1989年。
・『未完 朝鮮キリスト教史』、日本基督教団出版局、1991年。遺稿を整理して編まれたもの。
・『韓国と日本の間で――贖罪的求道者の史観から』、新教出版社、1993年。さまざまな論文・エッセイ集だが、澤正彦を一番手っ取り早く知ることの出来る本だと思う。「植村正久の朝鮮観」や、「韓国と私」「韓国教会の説教」などの「現代韓国論」、「中国キリスト教史研究」も含まれている。「日曜日訴訟」は礼拝が公的であることや安息日・主日の意味、信教の自由との関わり、明治初めの改暦の経緯を知る点でも興味深い。
・金纓訳、『日本キリスト教史――韓国神学大学講義ノート』、草風館、2004年。韓国の読者を対象に、日本のキリスト教史を日本の文化、思想、政治との関連から綴ったもの。あとがきによると、原著(韓国語)の改訂版で、著者が漢字で記した日本の人名・地名のハングル表記が「見事なほどに、ほとんど間違ってい」いるので、著者の名誉のためにもこの本を出版したとのこと。

(2)澤正彦の訳書は、三つ。
・閔庚培、『韓国キリスト教史』、日本基督教団出版局、1974年。
・柳東植(澤正彦、金纓訳)、『韓国キリスト教神学思想史』、教文館、1986年。
・閔庚培(尹宗銀、澤正彦訳)、『神の栄光のみ 殉教者朱基徹牧師伝』すぐ書房、1989年。

(3)澤正彦を知るために、金纓の次の著作も楽しくおもしろい。
・『チマ・チョゴリの日本人』、草風館、1985年。澤正彦との出会い・結婚からその後の生活について、詳しく、おもしろい。新版が1993年に出ている。
・『チマ・チョゴリの日本人、その後』、草風館、1993年。韓国の教会と日本の教会の比較から見た日本の教会の欠点もストレートに語られていて、とても興味深い。
 他に、『チマ・チョゴリのクリスチャン――ひいおばあさんから私まで』(草風館、1987年)は、著者の曾祖母、祖母、母、妹と娘たちの、韓国の歴史、韓国教会の歴史の中での歩み。
タグ:朝日新聞

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