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わたしたちは中継ぎ投手――教会の歩み一歩一歩の記録を [教会形成]

1.
 わたしたちは、旧約の民の歴史に続いて、イエス・キリストが来られた後、信仰を受け継いできた。これからもそうしていく。いつまでか。どこに向かっているのか。それは、御国の到来の時である。わたしたちは、御国の到来に備えて、御国が来たる時まで、信仰を受け取り、渡していく。それゆえ、わたしたちは言わば中継ぎ投手である。次の世代、次の時代に信仰を受け渡していくのであって、決して自分の世代で試合を終えたと思ってはならない。止めてしまってはならない。

2.
 牧師の教会での務めは、中継ぎ投手である。教会の歩みを次の牧師に引き渡していく。自分の務めが終わるときまで、礼拝を続け、伝道に力を注ぎ、神の民を守り、整え、導く。神が「もうよい」と言われたら、まだまだ自分がしなければならないと思っていることがあっても、いさぎよく手放して、次に手渡す。
 引き継いだ牧師は、これまでの教会の歩みと全く無関係に、ただ自分の考えによって務めを行うのではなく、それまでの教会の歩みの線上で、その教会のために必要な導きをなす。教会員も、新しい牧師を迎えた時「先生のお考えのままに自由にやってください」などと言ってはならない。
 もちろん、新しい牧師はそれ以前と全く同じようにしなければならないというわけではない。主が新しい牧師を遣わしたということは、教会が前任者では出来ない新しい方向へと変わるべき時を迎えたということでもある。しかし、牧師の好みや一存で自由に変えるのではなく、これまでの歩みの続きとして、新たな歩みを進めるのである。

3.
 中継ぎ投手の務めは、敵の攻撃をしっかり抑えて、次の投手に試合を引き継がせることである。次の牧師が少しでも苦労することのないように、次の牧師が説教に集中して取り組めるように、新たな発想で教会員と共に生き生きと礼拝し伝道できるように、教会を整えておく。時代に合わせ、集う人に合わせて、礼拝を自由に変化させることができるように。もちろん変えるべきでない礼拝の本質をきちんとわきまえているように。伝道へと教会員たちが進んで創意工夫して出て行けるように。礼拝を整え、信仰を整え、集会を整え、規則を整え、規則を整えておく。

4.
 そのために、礼拝の仕方や伝道方策、組織や集会の持ち方が、どのように行われてきたか、どのような経緯をたどって現在の形になっているのか、そこにどのような目的やねらいがあるのか、今後どのような方向に向かうことが考えられているのかについて、次の牧師が容易に把握できるようにしておくべきである。
 具体的には、礼拝の工夫や変更、伝道の方法、各集会や行事一つ一つの毎年度の変更点・工夫点などをその都度記録しておく。そうすれば、次の牧師は、その教会がどのような歩みをたどってきたか、教会が牧師によってどのような牧会をされてきたか、その記録を見れば一目瞭然に分かる。
 後からまとめればいいと思っていては、細かいことは忘れてしまう。牧師は着任した時から、次の牧師への引き継ぎのために、常日頃から記録をつけることが肝心である。次の牧師が、週報や役員会の議事録から一つひとつこういったことを読み解くのはきわめて骨が折れる。
 御国の到来に備え、待ち望む教会であるために、牧師が替わっても一貫した教会形成を進めていくために、教会の歩みの一歩一歩の記録が大切である。

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