ジュピターと賛美歌 [音楽]
ジュピターと言えばすっかり平原綾香になってしまっているが、賛美歌としてのジュピターについて。また、ホルスト作曲の賛美歌など。
1.ホルスト『惑星』
グスターヴ・ホルスト(Gustav Theodore von Holst, 1874.9.21-1934.5.25)は、イギリスの作曲家。
組曲『惑星』(The Planets)(作品32)(1914-1916)の第4曲「木星――快楽をもたらす者」(Jupiter, the Bringer of Jollity)の中間部の旋律は、様々な歌詞が付けられて歌われていることで有名。
ホルスト『惑星』はもともと、占星術から着想を得て作られた。
2.「祖国よ、我は汝に誓う」
Cecil Spring-Riceによる"I Vow to Thee, My Country"(祖国よ、我は汝に誓う)(1918年)が歌詞として付けられ、ホルスト自身によって歌詞に合うように編曲された(1921年)。これがイギリスの愛国歌の一つとしてよく歌われるようになった。
この歌が讃美歌集"Songs of Praise"(1925年)に収録されて以来、この旋律には"Thaxted"という tune name が付けられている。これは、ホルストが暮らしたことのある町の名前にちなんでいる。
この讃美歌は、チャールズとダイアナの結婚式(1981年)やダイアナの葬儀(1997年)、マーガレット・サッチャーの葬儀(2013年)でも歌われた。
3.讃美歌として
イギリスでは"I Vow to Thee, My Country"の歌詞でも讃美歌集に収録されているようだが、より讃美歌らしい(?)歌詞が様々に作られている。
その中でも、Michael A. Perryによる"O God beyond all praising"(1982年)がよく好まれている。この讃美歌は、イギリス国教会の中のどちらかというとローチャーチの傾向にあるジュビラーテ・グループJubilate Groupと呼ばれる人たちによるジュビラーテ・ヒムズJubilate Hymnsから刊行された讃美歌集"Hymns for Today’s Church" (1982年)に収録されて広まった。
日本語は、『教会福音讃美歌』(2013年)の245番「御名をほめたたえる歌声より」(訳は中山信児)。
4.有名な作品
- 本田美奈子.「ジュピター」(YouTubeで検索)
- 平原綾香「Jupiter」(YouTubeで検索)
- 冨田勲『惑星』(YouTubeで検索)
- リック・ウェイクマンのピアノソロアルバム『Piano Portraits』(2017年)の14曲目 "I Vow to Thee, My Country"
- おまけで、木星ではなくて火星だが、
エマーソン・レイク・アンド・パウエル『エマーソン・レイク・アンド・パウエル』の中の「火星―戦争をもたらすもの」(YouTubeで検索)
5.ホルスト作曲の賛美歌
ホルストの作曲で讃美歌になっているものとして、クリスマスの讃美歌である「木枯らしの風」がある。
Tune nameはCRANHAM、歌詞はChristina Georgina Rossetti, "In the bleak midwinter"。
日本語では、
- 『讃美歌』(1954年版)468「こがらしのかぜ」。
- 『新生讃美歌』(2003年)181「凍てつく風の真冬の日」。
- 『日本聖公会聖歌集』(2006年)100「こがらしさむく」。
- 小坂忠のアルバム「クリスマスキャロル」の12曲目「木枯らしの風」は、こうえいかによる訳詞。
日本ではあまり歌われない感じだが、良い曲だ。