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池田守男、サーバント・リーダーシップ入門(2) [読書メモ]

池田守男、金井壽宏、『サーバント・リーダーシップ入門』池田守男、金井壽宏、『サーバント・リーダーシップ入門――引っ張るリーダーから支えるリーダーへ』、かんき出版、2007年、254頁、1575円。

その1の続き。


■自分のためのメモ(その2)

Ⅱ サーバント・リーダーの経営改革

社長として、クリスチャンとして
社長として私にできることは、改革の原動力となる社員たちをサーバントとして支え、ゴールに導いていくことだ。(p.2の「刊行によせて」)

私はクリスチャンとして「奉仕と献身」(サービス・アンド・サクリファイス)を生活信条としてきた。

銀座教会の前で、以前そこで見た新渡戸稲造の書「Be just and fear not」」が脳裏によみがえってきた。

社長就任後の記者会見で、「一粒の麦、地に落ちて死なずば一粒にすぎず、されどその麦、地に落ちて死なば、多くの実を結ぶなり」」(ヨハネ傳12:24)を引用して、自らの覚悟を語った。

内村鑑三の『余は如何にして基督教徒となりし乎』と出会い、また、新渡戸稲造の『武士道』に目を開かれた。

ラインホルド・ニーバーの「変えてはならないものを受け入れる心の冷静さと・・・」も、池田守男の好きな言葉。(p.155)
「ニーバーの祈り」参照)

ヤマト運輸の元会長、小倉昌男もクリスチャンだった。(p.159)

個人の強調の弊害
企業においても地域社会においても、個人の権利や生き方が強調されるあまり、あるいは利益至上主義や市場原理主義が幅を利かせていて、他の人々のことを思いやったり、公の利益を考えたりすることが疎かにされている。

身近な人間関係の基本
サーバントとして人に尽くす、仕えるとは、対等な人間関係ではないように誤解されるが、決しそうではなく、互助・互恵の精神そのものである。

サーバント・リーダーシップはごく身近な人間関係においても基本となる考え方である。

明確なビジョン、ミッションの共有を 
サーバント・リーダーシップは、ただ仕えるのではなく、明確なミッション、ビジョンがあって初めて実践できる。そして、それを組織のメンバーたちに伝える努力が不可欠である。ミッション、ビジョンの共有が、サーバント・リーダーシップの実践の前提である。

理念・信条・方針はトップダウンで伝え、実践においては現場の仕事が円滑に運営されるようにサーバントとして社員を支える。

一度言っただけでは伝わらない。何度も繰り返し信念を語り続けることが大切であり、メッセージを発信し続けることが、想いを人の心に届ける一番の近道である。

使命感
人間が生きていく上で必要なものの一つは使命感である。与えられた使命が自分が考えている使命と異なる場合でも、まずは与えられた使命をやり遂げることに集中する。そこに自分で使命を見出していくことが必要だ。自らの役割や使命を理解し、それを全うする過程で支える・仕えることに徹することができる人が、サーバント・リーダーだ。

ギブ&ギブ
サーバント・リーダーシップの精神は、「与ふるは受くるよりも幸ひなり」(使徒行傳20:35)に凝縮されている。

世の中がギブ&テイクではなくテイク&ギブになっている。いやそれどころかテイク&テイクになっていると日野原重明と話し、「あなたはギブ&ギブに徹しなさい」と言われた。

「各々の賜物をもって、お互いに仕え合う。」これは聖書の言葉だが、人間本来の姿であると思うし、サーバント・リーダーシップの根底にある精神でもある。(p.250「おわりに」)
(聖書箇所は記されていないが、ペトロの手紙一 4:10 「あなたがたはそれぞれ、賜物を授かっているのですから、神のさまざまな恵みの善い管理者として、その賜物を生かして互いに仕えなさい。」)


■紹介されている主な文献

・ケン・ブランチャード他(小林薫訳)、『新・リーダーシップ教本――信頼と真心のマネジメント』生産性出版、2000年、223頁。
池田守男が金井壽宏から勧められた本。牧師と教授、そして事業家の対話によって奉仕型リーダーを解説している。

・ロバート・ケリー(牧野昇訳)、『指導力革命――リーダーシップからフォロワーシップへ』、プレジデント、1993年、267頁。

・ジェームズ・ハンター(石田量訳)、『サーバント・リーダーシップ』、PHP研究所、2004年、238頁。
これ以降のジェームズ・ハンターの訳書に、(高山祥子訳)、『サーバント・リーダー――「権力」ではない。「権威」を求めよ』、海と月社、2012年、212頁がある。

・ジョセフ・ジャウォースキー(金井壽宏監修、野津智子訳)、『シンクロニシティ――未来をつくるリーダーシップ』英治出版、2007年(原著1977年)、336頁。
増補改訂版(392頁)が2013年2月に出た。

・ロバート・K・グリーンリーフ(ラリー・C・スピアーズ編、金井壽宏監修、金井真弓訳)、『サーバントリーダーシップ』、英治出版、2008年、576頁。




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