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フランシスコ会訳聖書 [書籍紹介・リスト]

フランシスコ会訳聖書 ようやく、フランシスコ会研究所訳の旧新約聖書の合本が発売された。

書 名
 正式には、フランシスコ会聖書研究所訳注、『聖書 原文校訂による口語訳』、サンパウロ、2011年、10+旧約2502+新約729+付録9頁、8400円(2011.12.31までは7000円)。


『フランシスコ会訳聖書』厚さ6.5cm厚さは6.5cm。

概 要
 1958~2002年の45年間かけて刊行された分冊を、訳語、文体、表記を統一し、注を簡略化して1冊にした合本。1984年の『新約聖書』(改訂版)と比較しても、注はさらに少なくなっている。各書の前に「解説」があり、こちらの方はより詳しく書き改められているようだ。ところどころに地図などの図版(旧約88箇所、新約24箇所)も挿入されている。
 地名人名は基本的に『新共同訳聖書』にならっている。すなわち、イエズスはイエスに統一されている。振り仮名は必要な箇所のみ。小見出し付きで、詩編の一編一編にも小見出しが付けられている。
 翻訳の底本は、旧約はBHS、第二正典はゲッティンゲン研究所の「七十人訳聖書」第四版、新約はUBSの修正第三版。
 付録は、「度量衡および通貨」、バビロニア暦とマケドニア暦と太陽暦の「月の対照表」、詩編の分類表、図版一覧、たった一枚の地図「聖書の世界」。なお、これまでのすべての分冊の出版年、担当者・協力者を記したB5サイズ1枚の「謝辞」が挟まっている。

旧約第二正典について
 旧約第二正典は「伝統的な順序に即して旧約聖書の枠の中に」入れられている。すなわち、ネヘミヤ記の次にトビト記、ユディト記、そして、70人訳にあってヘブライ語聖書にない部分を含むエステル記、マカバイ記一、二と続く。また、雅歌の次に知恵の書、シラ書、さらに、哀歌の次にエレミヤの手紙を含むバルク書が置かれている。

本文の校訂について
 独自の本文批評によって、他の翻訳と異なる原文を採用したり、従来の解釈と異なる翻訳がなされた箇所も多い。それらは一応、注に記されているようだ。たまたま目についたところでは:

創世記4:26「エノシュは主の名を呼んだ最初の人であった」。新共同訳は「主の御名を呼び始めたのは、この時代のことである」。フランシスコ会訳の注によれば「ヴルガタ訳による本訳のほうが原典に近いと思われる」とのこと。

創世記49:10c「貢ぎ物は彼にもたらされ」。意味不明の「シロ」が出てくることで有名な箇所。注によれば、「シロが誰であるかは不明であり、同語が人名として出るのは本箇所だけで・・・本訳は、文脈によりよくあてはまると思われる新しい解釈に従った」。

ホセア書4:7「彼らは彼らの栄えを恥に変えた」。原文は「わたしは彼らの栄えを・・・」。口語訳、新改訳、新共同訳、岩波委員会訳も同様。一方、マソラの校訂では、ここはティックネー・ソーフェリームで「彼らはわたしの栄えを・・・」と読み替える。しかし、フランシスコ会訳はこのどちらでもなく、注によれば「アラム語、シリア語本に従う」とのこと。


補 足
 なお、カトリックの日本語訳聖書としては、プロテスタントと共同の『新共同訳』以外の従来のものには、ラゲ訳(文語)とバルバロ訳(口語)があった(どちらもウルガタからの翻訳)。ちなみにエミール・ラゲはパリ外国宣教会、フェデリコ・バルバロはサレジオ会。


(2013.3.8画像追加)

サンパウロが2013.2.11に初版の訂正箇所一覧を出した。(2013.3.28付記)




タグ:聖書翻訳
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