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水谷智洋編『羅和辞典』研究社 [書籍紹介・リスト]

水谷智洋『羅和辞典』研究社水谷智洋編『羅和辞典 改訂版』、研究社、2009年、22+889頁、6300円。

 一応、田中秀央編の羅和辞典(1952初版、1966増訂新版)の改訂版であるが、その歴史と基本思想を受け継ぎつつも、全く新しい辞書という感じである。



1.内容

辞典本文はpp.1-732。

付録として、ローマの暦、通貨、人の名前、主要な略語、そして変化・活用表。

さらに、pp.781-883に、Cassellのラテン語辞書が羅英と英羅の二本立てであることにならって作成された「和羅語彙集」(野津寛による)がある。


2.収録語彙

見出し語4万5千とのこと。

収録語彙は、紀元前200年頃からの古ラテン語、紀元前1世紀頃から紀元後200年頃の古典ラテン語を中心とし、紀元3世紀以降の教父の語彙や中世・近代ラテン語の学術用語も「視野に収めている」。

特に、起源200年頃以降の語彙、あるいは語義、用例には上付◇記号が付けられている。これは、「Oxford Latin Dictionaryがその収録する語彙の下限を2世紀末に置いていることにならおうとする試み」とのこと。

用例として用いられている著作家・作品の中には、アウグスティヌス、カッシアヌス、キプリアヌス、ヒエロニムス、ラクタンティウス、偽キュプリアヌス、テルトゥリアヌス、そして、ウルガタ聖書が見られる。


3.これまでの版とのつながり

田中秀央編の内表紙にあった"Festina lente!"はなくなったが、文章中にこの言葉が出てくる初版の「まへがき」が、「本辞典の足跡を示すために」掲載されている。


4.評価

数万円もする辞書を買うほどラテン語を勉強するわけではないし、かといって古ラテン語や古典ラテン語限定という感じの辞書では教父の著作でちょっと調べるのに使えるのかどうか不安だし、というわけで、もしかしたら羅英辞典で何かいいのがあるかもしれないが、さしあたり手元に置いておく入手容易なラテン語辞典としてはこの『羅和辞典 改訂版』しかない。




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